薬学研究 ⇔ 社会課題
物江祐弥さん インタビュー
自分の研究を俯瞰的に見ることで、薬学研究を取り巻く社会課題に気づく
- 学部1年目の厚生労働省訪問をきっかけに薬剤師免許と博士号の二刀流を目指す
- 超域の志願理由は本当に視野が広がるのか「確かめに来た」。今では日本の薬学研究を取り巻く問題に興味を持つように
- 「超域イノベーション総合」では10年後の美をつくる化粧品をテーマにプロジェクトを動かす
- 癌研究一本道だった進路への考え方にも変化があり、自分の研究をより俯瞰的に見ることができるようになった
物江祐弥
超域イノベーション博士課程プログラム
大阪大学大学院薬学研究科創成薬学専攻 博士後期課程1年(2023年3月時点)
高度先導的薬剤師養成プログラムが開催していた厚生労働省訪問に参加した学部1年の時から、薬剤師免許と博士号の両方の取得を目指しています。超域には、先輩の勧めもあり応募しました。その当時は「本当に視野が広がるのか半信半疑」という感じで、「確かめに来た」という感覚でした。
超域に入ってからは、薬学研究を取り巻く社会的な問題にも興味を持つようになりました。海外では、大学と製薬会社の間にベンチャー企業が入ることで、研究開発から製薬へのプロセスが活性化しています。しかし日本ではそのようなプロセスが弱く、研究環境はどんどん衰退しています。よりよい研究を行うためには、薬学の研究に取り組むだけではなく、もっと視野を広げて考える必要があると思っています。
「超域イノベーション総合」という授業では、10年後の美をつくる化粧品をテーマとするプロジェクトに参画しています。市場調査データだけではなく、学術的な視点から社会背景を考え、10年後のトレンドを見いだす取り組みです。具体的な商品というよりは、そのコンセプトを考えるわけですが、薬学研究を取り巻く社会課題に対するアプローチに似ていると思い、何かすごく面白いなと思いつつ取り組んでいました。
超域に入って、進路の考え方も変わりました。以前よりも俯瞰的に自分の研究を考えるようになり、今やっている癌研究をそのまま進めるのか、それとも今の研究を主軸に、神経疾患や免疫系の疾患など別の病気も視野に入れて研究をするか、といったことを考えるようになりました。おそらく超域に入っていなかったら、米国の国立がん研究所のような、今取り組んでいる研究の延長線上にある進路しか視野に入っていなかったと思います。超域の時間は専門の研究から頭を切り替えることができるので、い意味での気分転換になっていますね。