イベントレポート
科学技術と社会のつなぎ方 -宇宙政策の未来について考える-
STiPS Handai研究会
(この記事は、STiPS ウェブページ からの転載です。)
2019年4月23日(火)、大阪大学豊中キャンパス 理学研究科H棟2階 コミュニケーションスペースにおいて、STiPS Handai研究会「科学技術と社会のつなぎ方 -宇宙政策の未来について考える-」を開催しました。学内外からあわせて48人が参加しました。今回は理学研究科にて開催したこともあり、理学研究科の学生や教員が多く参加してくださいました。
今回の研究会のゲストはお二人。大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻の佐伯和人准教授と、大阪大学COデザインセンターの渡邉浩崇特任准教授でした。お二人とも、宇宙探査に関わる研究者ではあるものの、アプローチは全く違います。佐伯先生の専門分野は惑星地質学、鉱物学。そして、渡邉先生の専門分野は国際政治学、外交史、宇宙政策、宇宙法。
同じもの(今回は宇宙探査)をターゲットにしていても分野が異なると研究者同士がディスカッションをする機会はそれほど多いわけではありません。まして、その本音のディスカッションが学生の前で繰り広げられる機会はほとんどないのではないでしょうか。今回のSTiPS Handai研究会「科学技術と社会のつなぎ方」の目的の1つは、「異なる分野(主に理工系と人文社会系)の研究者同士のディスカッションの場をつくり、それを大阪大学の学生にも開く」ということでした。
まず二人のゲストから、宇宙政策の未来についての3つの問い、「なぜ宇宙探査するの?」「日本は「宇宙先進国」であって欲しい?」「宇宙に人を送りたい?」、これらを考えるための材料をお話していただきました。
話題提供1人目は、佐伯先生です。惑星科学の知見や、実際に月の探査に関わっておられるご経験などを踏まえて、宇宙探査の目的、宇宙に関する技術や研究の国際的な状況、有人探査などについて、日本の立ち位置や今後の動きなどについてのお話でした。
話題提供2人目は、渡邉先生です。政策や法律の観点から、日本の宇宙政策の現状や意義、日本の宇宙科学探査や有人宇宙活動について今後、考えるべき論点、また、宇宙資源に関する国際的な状況などについてのお話しでした。
その後、八木絵香准教授の進行で、参加者のみなさんも含めたディスカッションの時間をもちました。参加者からは、次々に質問やコメントが寄せられました。宇宙資源についての考え方や国際法の状況、政策費用の配分の決定方法、宇宙ゴミの定義や事故の際の損害賠償、宇宙探査をめぐる国際協力の現状や得られたデータの共有化、宇宙政策への一般市民の意見の反映など、さまざまな観点から活発な発言がありました。