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イベントレポート

2019年7月22日(月) 公開

イベントレポート
ラクワク(楽WORK)思考×映画『マイ・インターン』
COデザインセンター × 株式会社オカムラ

「学びなおし」の必要性がいろいろなところで語られるようになりましたが、普段忙しく仕事をしていると、なかなかそういった時間をつくることは難しいと思います。そこで、株式会社オカムラとCOデザインセンターは共同で本イベントを企画しました。

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本企画では、映画を題材に、ストーリーや特定のシーンにおいて労働問題がどのように反映されているかを読み取りながら見直すことで、労働の世界の理解を深めることを目指しています。1回あたり約3時間で1つの映画を取り上げます。
まず参加者それぞれが映画を見直し、次に講師による解説を聞き、最後に参加者が意見を交換したり問題を議論したりします。
労働経済の理論や統計の知識を身につけて、映画の新しい楽しみ方を知ることも、この企画のもう1つの目的です。

本企画は、COデザインセンターが「リテラシー」として提供する授業「特別講義(映画の中の労働経済)」の一環として行われました。

今回は、5月24日に行われたイベントの様子をレポートします。

大学生やお勤め帰りの社会人の方など、あわせて約20人が参加しました。

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映画「マイ・インターン」は、ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイの共演でも話題になりました。
ニューヨークのファッション業界でベンチャー企業の社長として活躍する主人公(アン・ハサウェイ)。彼女の会社に、定年退職後の高齢者(ロバート・デ・ニーロ)がインターンとして入社してきます。最初は40歳以上も年上のインターンにイライラしていた主人公が、だんだんと彼を頼りにするようになり・・・というストーリー。

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映画を鑑賞したあと、本企画の担当者 松繁 COデザインセンター長 より「映画を見て感じたことを、自由に発言してください。」という言葉があり、参加者のみなさんが思い思いに感想を話されました。


「私が働いている会社は60歳で定年ですが、定年したあとも65歳まで継続雇用行なっています。実際、70代の方も働いています。そんな方々を見ていると、賃金も大切だけれども、自分の経験値を社会の中で生かしたい、社会に必要とされたい、という意識を持っている方が多い、と感じます。」

「私は昭和20年生まれなのですが、まだ元気に仕事をしています。もうあと2年で退職しよう、と思っていたところに、この映画を見て、とても感激しました。」

「私は50代なのですが、(ロバート・デ・ニーロが演じた)ベンのようになりたいと思っています。しかし、ベンのようになれるのは、経験、知識があり、人格者である人ではないでしょうか。普通は、なかなかあそこまでの人にはなれないのでは。『ベン気取り』の人が組織のなかに増えてくると、それはそれで組織が大変なのでは、とも考えてしまいました。」

「私は、適材適所、ということが大切なのではないかと思いました。ベンは、現役だったときと同じポジションではないところにインターンシップに来たけれど、力が発揮できている。できる人ができるところをやればいいのかな、と思いました。」

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「今回の映画は、良いパターンとして描かれている、と思いました。ベンの人柄が大きいのかもしれません。(アン・ハサウェイが演じた)主人公は、最初はベンの雇用に反対していましたが、でも実際はベンを雇用してみると、ベンの存在が主人公にとっても会社にとっても良い結果になった。こういった試みが会社にとってプラスになる、ということはあるのではないでしょうか。」

「この映画のポイントは、ベンがいろいろな経験をもっているということより、ベンに変なプライドがないということだと、私は思います。こういった試みで何が難しいかというと、プライドではないでしょうか。プライドがあるから、なかなか現状に適応できないというところもあるかもしれない、と思いました。みんながもっと柔軟に現状に適応できるようになれば、社会がもっと良くなるかもしれない、と思いました。」

「私は大学2年生です。映画の中に描かれていた主人公が社長を務める会社が、自分が持っていた『会社とはこういうものだ』というイメージとかなり違っていました。主人公の秘書の女性が『こんなに頑張っているのに認めてもらえない』と泣くシーンがありましたが、私も彼女のように、仕事でなかなか結果が出ず他の人と自分を比べてしまったりするのではないか、と思いました。」

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松繁先生からは、このようなお話がありました。

「女性の社会進出については、2000年代に入り、アメリカと日本の差がより大きくなってしまいました。女性の就職率、女性の重要なポストへの昇進など、データの上でも大きく離されてしまったのです。日本がアメリカに追いつくには、今から30年から40年、もしかするとそれ以上の年月がかかるのでは、と思います。

私が今回この映画を選んだのは、定年退職がないと言われるアメリカで、定年退職後の世界を描いている映画がヒットしているのが不思議だ、と思ったからです。

まず、この映画の設定が面白いですね。ベンは40年間、電話帳の会社に働いていました。しかし、インターネットという新しい産業にとって代わられて、今その会社は跡形もありません。一方、ベンがインターンとして再就職した会社は、インターネットによって生まれた会社です。この世界は日進月歩で、40年間も同じ仕事をし続けるなんてことはありえません。

しかし実は、経験というものはそういう時代の流れや世界の違いを超えて役に立つ。この映画にはそういうメッセージがあるのではないか、と思いました。

そして、この映画はアメリカの映画なのです。インターンとして高齢者を雇うということを思いついているわけです。これは日本ではなかなか見られないシステムなのではないか、と思いました。」

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金曜日の夜、会社の帰りに少し立ち寄って、気になる映画を鑑賞し、感じたことを楽しく話し合うこのイベント。終始リラックスした雰囲気で進行されました。

COデザインセンターでは、このようなイベントを、今後も積極的に企画・運営していきたいと考えています。

(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)

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