大阪大学
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授業レポート

2019年7月 9日(火) 公開

授業レポート
秋~冬学期「フィールド・プロジェクト」
COデザインセンター開講科目<協働術>

COデザインセンターでは多様な授業が開講されています。

今回は2018年度秋~冬学期に開講された「フィールド・プロジェクト」(担当:山崎 吾郎、大谷 洋介、小倉 拓也)の様子をレポートします。

*注)
本授業は、2019年度は「協働術」として秋~冬学期に開講されます。詳しくはこちらをご覧ください。
担当、所属等は授業実施当時(2018年11月)のものです。

本授業の目的と目標は以下です。

課題解決に関する知識やスキルを、実際の社会課題のなかで展開・応用し、社会における課題の解決に向けた関心および方法論についての理解を具体化する。とりわけ「デザイン思考」や「システム思考」を基本的なフレームワークとしたプロジェクト演習を行う。


担当の山崎 COデザインセンター准教授は、以下のように話してくれました。

「この授業では、まず授業に協力いただくパートナーに、実際に向き合っている課題を持ち込んでいただきます。そして受け取った課題について一緒に考えはじめるのですが、とはいえ、いつでもきれいな答えが出るわけではありません。そもそも『解決する』とはどういうことなのか、現在まで解決されずにいるのだとしたらそれはなぜか、何をもって解決したと考えるのかといった、問いの問い直しからはじめることになるからです。もちろん、目の前に困った状況があることは間違いないので、現場で活動する方々が少しでも意義を感じてもらえるよう、授業をとおした取り組みに形を与えていくことが大事だと思っています。今回は、地域おこしのために活動するNPOの方々に協力いただきました。

期限も予算も区切られた中で、異なる背景をもつ受講生たちが集まり、どこまで『課題』に切り込むことができるか。受講生達は、これまでに獲得してきた知識や経験を活かそうと奮闘する一方で、一筋縄ではいかない課題のリアリティに翻弄されることにもなるでしょう。その試行錯誤のすべてが、授業での学びにつながることを期待しています。」

今回は、写真を中心に、2018年11月4・5日に行われたフィールドワークの様子と、11月30日の最終報告会の様子をレポートします。


2018年11月4・5日

今回受講生たちがフィールドワークに出かけたのは、「里山暮らし交房 風結い」です。

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琵琶湖に注ぐ安曇川の中流域、比良山系北端の山麓にたたずむ「風結い」は、地域の農や食、山の恵みなどを体験する交流施設として、解体寸前であった築150年にもなる伝統的な古民家を移築再生して甦らせたものです。再生にあたっては高島市産の無垢のケヤキ木材を使用しており、世界にたったひとつしかない建築物です。

周辺は豊かな森林に囲まれ、周囲の田んぼとともに再生された暮らし空間は、懐かしさとともに未来を感じさせてくれます。

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今回の「フィールド・プロジェクト」では、この「風結い」の素晴らしさをより多くの人に知ってもらい、より多くの人に訪れてもらうための方法を考えます。

受講生たちは、「風結い」を運営しておられる方々から直接お話を伺う機会を得ました。

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資料を収集して考える手がかりとし、集落で話を聞き、「ここにしかない環境」を自分たちの目で見て、確かめました。

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農園を営みながら週末だけ開業するレストラン「sato kichen」を訪問しました。受講生たちは「風結い」のある集落の他の方からもお話を聴くことで、地域に対する理解を一層深めました。

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受講生たちは、「風結い」に滞在することで、周囲の自然や住環境を肌で感じ、そこにしかない「場所のちから」を体感したようです。

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それぞれのグループで、熱心な議論が繰り広げられていました。

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2018年11月30日

今日はいよいよ、最終報告会です。
受講生たちは、ここまで約4週間にわたり何度も議論を重ね、施策を練ってきました。

いよいよ「風結い」の担当者に向けて報告します。

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2グループがそれぞれ発表を行いました。

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「隠れ家」をキーワードにターゲットを絞って広報を行うという施策を考えたグループ、「留学生」をターゲットに具体的にどのような体験が提供できるかを考えたグループ。
それぞれ、コスト積算を行なったり、電話による詳細な現状調査を行なったりと、多岐にわたる提案を行いました。

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質疑応答も白熱したものとなりました。

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「風結い」の代表の方からは、以下のようなコメントをいただくことができました。

「非常に面白かったです。アプローチ方法までしっかり調べてもらって、可能性を感じることができました。
特に、利益面だけに終わってしまうのではなく、『風結いの良さ』を発信したい、と言っていただいたことが良かったと思います。私たちは風結いの良さについてもちろん理解しているのだけれど、やはり毎日仕事をしていると外からの視点がわからなくなってしまってあえて丁寧に説明しなくなってしまう、ということがあるんだなと気づきました。『風結いの良さ』を改めてもっとアピールしても良いのかもしれないな、と感じました。」

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受講生たちは、これまでに学んできたシステム思考や課題解決思考を実践的に活用するこの授業において、さまざまな気づきを得たに違いありません。

COデザインセンターで行われているその他の授業のレポートについては、こちらをご覧ください。


(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)

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