受講生インタビュー(佐伯直哉さん・島田有希子さん・二本木克旭さん)
春学期「特別講義(Effectively Communicating Your Science & Research)」
COデザインセンター開講科目<表現術>
COデザインセンターでは多様な授業が開講されています。
今回は春学期に「表現術」として開講された「特別講義(Effectively Communicating Your Science & Research)」(担当:Brendan Barrett、工藤 充)の様子をレポートします。
本授業の目的は、以下のようにシラバスに記載されています。
This course is designed for students who are concerned about how best to effectively communicate their scientific knowledge and research outputs to their target audience.
The course provides valuable insights and develops competencies around representation, issue framing and the expression of scientific concerns.
Applying knowledge developed through this course, students will experiment with the design of media communication strategies.
今回は、3人の受講生の方々にお話を伺いました。
佐伯 直哉 さん(工学研究科 マテリアル生産科学専攻 博士前期課程2年)
僕がこの授業を受けようと思った理由は、ふたつありました。
ひとつは、学部3年生のときのニュージーランド語学留学での経験です。とりあえず行ってみよう、という感じで行った語学留学だったのですが、やはり、なかなかうまく英語を話すことができませんでした。そのときから「英語を勉強したい」という気持ちをずっと持っていました。
もうひとつは、将来社会に出たときに備え、幅広い分野について知っておく必要がある、と考えるようになったことです。大学院にすすむと、日々触れる領域はどんどん専門的になっていきます。それはとてもやりがいがあることなのですが、自分の好きなことばかりやっていたらいずれ苦労するときが来るのではないか、と感じるようになったのです。
僕自身は、もともと、自分からどんどん動いて情報を取りに行くというのが得意なタイプではないのですが、英語は絶対に必要ですよね。英語は絶対に避けては通れない。だから、授業などで英語に触れる機会があればいいな、という気持ちはずっと持っていました。

そんなとき、友達がこの授業を見つけて、「一緒に受けよう」と誘ってくれました。シラバスを見ると「英語でプレゼンテーションをして、専門外の人に自分の伝えたいことをきちんと伝えるためのスキルを学ぶ」と書かれてあり、興味を持ちました。研究と両立させるという点では、時間のやりくりがなかなか厳しいところもありますが、やってみたいという気持ちがまさり、受講することにしました。
バレット先生の英語はすごく聞きやすいです。バレット先生も工藤先生も、僕が英語で伝えようとしたことを「それはこういうことを言いたいのだよね」「こういう言い方ができるよね」と整理したり深めたりしてくれます。それが僕にとって、とても勉強になっています。

島田 有希子 さん(薬学研究科 博士前期課程1年)
今年から私の所属する研究室に留学生が所属しており、私はチューターをしています。留学生とは英語で話すのですが、自分のスピーキング能力が落ちているな、と感じていました。私の通っていた高校は英語のスピーキング指導がさかんだったので、高校生のときの方がスピーキング能力は高かったと感じるほどです。大学に入ってから英語を話す機会が少なすぎて、危機感を持っていました。
大学院入学直後のガイダンスで、COデザインセンターの授業案内のリーフレットを見ました。そこにCOデザインセンターの英語の授業についての記事が載っていました。受講生の方が「英語を使ってプレゼンテーションをするのが面白い」と言っていて、ああ、こんな授業があるのだな、受けてみたいな、と思いました。

実際に授業を受けてみると、科学コミュニケーションの授業ということもあり、言語の学習にとどまらず、プレゼンの具体的な方法を学ぶことができました。はじめは、文法が間違っているのではないかとか、この単語は何だったっけとか、正しく話すことばかり考えてしまったのですが、この授業は少人数で毎回発表の機会があるので、だんだんとそういう気持ちも消えていきました。「まずこれを考えてみて」「では次は発表」という感じで、授業のテンポが良かったのです。
私にとって、完璧な英語を話すことにとらわれるのではなく、自分の考えを伝えるということを大切にして、まずはアウトプットしてみる、という環境が良かったのだと思います。自分の考えを伝える、ということに集中することができました。
バレット先生は、視覚的に訴えるスライドのつくり方や、最も重要なポイントを相手に記憶してもらうプレゼン方法を教えてくださいました。コミュニケーションにおいて重要なのは、相手のことを考えて伝えようとすることや、伝える勇気を持つということなのだな、と考えるようになったのが、私のなかの一番の変化だと思います。

二本木 克旭 さん(理学研究科物理学専攻 博士前期課程1年)
僕は英語が得意なほうではないのですが、大学院にすすむと、英語の論文を読んだり、国際学会に出る機会があったりすると聞いて、英語を学びたいと考えていました。英語が苦手であっても参加でき、英語で話す経験が気軽に積める授業があったらいいな、と思っていました。そんなとき、COデザインセンターの授業案内のリーフレットに英語の授業が紹介されていて、やってみよう、と受講を決めました。

授業の雰囲気は、とても良いです。僕はとても楽しく参加することができました。英語で話すのですが、話す内容は自分の好きなことを選ぶので、「自分の話したいことを話す」ということが楽しく感じられました。バレット先生の授業の進め方が良いのだと思います。英語が得意でないと発言しづらく感じるものですが、授業の雰囲気が良いので話しやすいのです。それがとても良かったです。

ただやはり、考えていることを英語で表現するのは難しいですね。授業の最終回に行ったプレゼンテーションでは、僕はとても早口になってしまっていました。僕のプレゼンを撮影した動画を見て、自分はこんな風に話しているのか!と思いました。客観的に自分を観察する、というのは良い経験でした。発音がこもってしまっていたので、ゆっくりはきはきと話そう、とか、一呼吸置くことを意識しよう、とか、具体的に次はこうしよう、と考えることができました。
英語で自信を持って話すのは、本当に難しいです。だからこそ、これからも継続して学び続けたいと考えています。
(所属は2019年9月時点のもの)
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英語でプレゼンテーションし、バレット先生と工藤先生から的確なフィードバックを得ることができるこの授業。受講生のみなさんにとって、これらの経験が専門や就職活動などで生きるに違いありません。
COデザインセンターで行われているその他の授業のレポートについては、こちらをご覧ください。
(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)