授業レポート
集中講義「科学技術イノベーション政策総合演習」
COデザインセンター開講科目<横断術>
COデザインセンターでは多様な授業が開講されています。
今回は「横断術」として開講されている「科学技術イノベーション政策総合演習」についてレポートします。
この科目の特徴は、他大学の学生と一緒に、政策担当者も交えながら、密度の濃いグループワークを行うということです。
2018年度は、8月9日に大阪大学構内で事前ワークショップが、8月28〜30日(2泊3日)に他大学と合同で実施する合宿セミナー「SciREXサマーキャンプ」が実施されました。
事前ワークショップ
開催日:2018年8月9日10:30〜18:00
会場:豊中キャンパス 全学教育総合棟Ⅰ 3階 COデザインスタジオ(341号室)
この日は、サマーキャンプ本番でのグループディスカッションをより良いものにするために、対話をしやすい雰囲気づくりや、対話を深めるための質問の仕方、ディスカッションのまとめ方などを学びました。
午前中のテーマは「自己紹介」。普段とは少し違った自己紹介にチャレンジしながら、メンバーからそれぞれの知識や経験、意見を引き出すことができるような質問の仕方を学びました。
午後からは、ディスカッションをするグループと、そのグループを観察・記録するグループに分かれて、「対話の流れを可視化する」という体験。対話の進め方を客観的に捉える手がかりが得られたようでした。
合宿セミナー「SciREXサマーキャンプ」(*1)
開催日:2018年8月28日〜30日
会場:政策研究大学院大学 *1
科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」基盤的研究・人材育成拠点の拠点間共同プログラムの1つとして毎年夏に実施されています。政策研究大学院大学、東京大学、一橋大学、大阪大学、京都大学、九州大学から、教員や学生が参加しています。
2018年度のサマーキャンプの統一テーマは「2030年の社会と科学技術イノベーション」。このテーマの元に9つの課題(例えば、「2030年のエネルギーミックスの実現を考える」「日本の宇宙政策--2025年以降の国際宇宙ステーション(ISS)と宇宙探査--」「持続可能な医療政策〜エビデンスベースドポリシーの実現を目指して」など)が設定されました。サマーキャンプの参加者はこの9つのグループに分かれて3日間を過ごしました。
「科学技術イノベーション政策の科学」の概略や具体的な事例(今年は自動運転がテーマ)を学ぶことのできる講義も挟みながら、グループワークが行われました。
サマーキャンプ2日目には、それぞれの取り組む課題に関係する政策担当者や研究者との意見交換を行いました。現場の状況を聞き、課題を再検討します。
参加者は各グループの担当教員だけでなく、アドバイザーとして参加している関連分野の政策担当者のサポートも受けながら、夜遅くまで議論を重ねているようでした。
3日目の午後は最終発表会。投票によって最優秀賞やベスト・プレゼン賞、政策担当者賞賞などが選出され、プログラムは終了しました。
あっという間の3日間でしたが、他大学の学生や政策の現場に関わる人たちとの交流はもちろん、短時間で課題を分析して政策提言をまとめるという経験は、ここでしか得られないものだったのではないでしょうか。
受講生の声(*講義後のアンケートより)
「非常に有意義で貴重な時間を過ごせた。もし可能ならもう一度参加したいと感じるものだった。(基礎工学研究科)」
「いつもの授業の延長、ぐらいに考えていたが、ハードルが高くて驚いた。規模の大きさゆえ、インプットできたものは多く、知識だけでなく、経験としても有意義だった。異分野交流どころではなく、圧倒的な技術の差を実感し、その共同作業は熾烈を極めるもので、怒涛の3日間を過ごしたように思う。行政官や様々な現場の方との交流は貴重な機会であり、今まで体験したことのないようなスケールで政策提言の実態の一部を垣間見られたのではないかと思う。(文学研究科)」
(書き手:小林万里絵 COデザインセンター特任研究員)