産学共創本部大型産学共創コンソーシアム組成支援プログラム
大阪大学エリアマネジメント研究会 会場レポート(2)
去る 2018年2月23日(金)、大阪大学中之島センターにおいて、産学共創本部大型産学共創コンソーシアム組成支援プログラム「協働研究によるエリアマネジメントのための産官学民連携コンソーシアムの開発」協働研究ユニット研究者のご紹介とポスターセッション、意見交換会が行われました。
会場の様子を4回にわたってレポートする、2回目です。
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複雑多岐な課題が山積する現代社会において、特定の技術のみで社会課題が単純に解決することは難しくなってきています。
むしろ地域課題を産官学民の対話のなかで発見し、発見された課題を大学が協働研究し、ときには授業・ゼミ・研究室で検討し、その成果を対話の場に返すような地域におけるコミュニケーションプロセスのなかでこそ、社会課題解決のイノベーション(共創)がおきるのです。
本協働研究は従来の対話プラットフォームとは異なり、大学の協働研究のエビデンスと企業のシーズ、市民のヒューマンリソースによって、未来社会開拓、生活変容型の産官学民協働によるエリアマネジメントの社会実装を試みる協働研究です。
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今回お話を伺ったのは
松村 悠子 さん(大阪大学大学院 人間科学研究科 博士後期課程、超域イノベーション博士課程プログラム 所属)です。
松村さんは、三好 恵真子 教授(大阪大学人間科学研究科 人間行動学講座 環境行動学)の研究室に所属しています。
三好教授は、複雑化するリスク社会の中で、環境問題を解決していくためには文理融合の新しいタイプの研究者を育てなければいけないと強く考えておられます。そう考える三好教授のもとには、技術開発に取り組む理系の学生、社会学や人類学などを学ぶ文系の学生、実務家、大学の教員など、様々なバックグラウンドを持つ人たちが結集し、研究を行なっているとのこと。ユニークなメンバーが一つの研究室に集まることで、個々人の資質を生かしながら切磋琢磨し、より一層成長することができる研究環境となっているとのことでした。
松村さんは、長崎県対馬のご出身です。そのことがきっかけで、「離島における自然エネルギー開発事例」を研究対象としています。聞き取り調査を中心とし、研究に取り組んでいます。
松村さんがご研究でポイントとしてあげたのは、以下の三つです。
・その地域がエネルギー開発をどう捉えているか、地域のオーナーシップとエネルギー開発の関係がどのようなものかを明らかにすること。
・「離島は他の地域より遅れているから、支援が必要である」という考え方を含む「離島のとらえかた」を、エネルギーという視点から再構築・再構成すること。
・島嶼(とうしょ)学という視点を重視すること。
離島には、技術的なプロジェクトが数多く存在するそうです。しかし松村さんは、技術的な有用性のみならず、「本当にそのプロジェクトは地域に根ざしているのか」「そのプロジェクトは持続可能なのか」という観点を持ち、修士課程から6年間継続して離島と関わり続けています。
研究をすすめるうちに、プロジェクトに対する地域の主体的な関わりが薄かったり、反対運動が起こっていたり、という事実がわかってきたそうです。また、今後は海外の事例において、たとえ技術的な点で成功事例として評価されているプロジェクトであったとしても、そのプロジェクトによって本当に島が衰退を免れ自立していくことができるのか、研究を進めたいと考えていきたいそうです。
ポスターセッションでの松村さん。
参加者の方からの問いかけに、ひとつひとつ丁寧に答えておられました。
松村さん、お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)
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大阪大学エリアマネジメント研究会 会場レポート
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(1)森栗 茂一 COデザインセンター教授「これまでの経緯と大阪大学エリアマネジメントコンソーシアムのねらい」
本プログラムにおいて、これまで社会包摂による研究教育にご理解を得ていた9名の研究者と一緒に活動をスタートすること、今後共同研究する仲間を広げたいということについて、お話しました。