産学共創本部大型産学共創コンソーシアム組成支援プログラム
大阪大学エリアマネジメント研究会 会場レポート(1)
「協働研究によるエリアマネジメントのための産官学民連携コンソーシアムの開発」
従来、大阪大学は企業等と技術開発する産学連携で大きな社会貢献をしてきました。
一方、地域社会では、都市計画や地域福祉などの課題ごとに市民の参加を得て政策実施していましたが、十分な研究成果、エビデンスがないまま、決定がなされることも少なくありませんでした。
複雑多岐な課題が山積する現代社会において、特定の技術のみで社会課題が単純に解決することは難しくなってきています。
むしろ地域課題を産官学民の対話のなかで発見し、発見された課題を大学が協働研究し、ときには授業・ゼミ・研究室で検討し、その成果を対話の場に返すような地域におけるコミュニケーションプロセスのなかでこそ、社会課題解決のイノベーション(共創)がおきるのです。
大阪大学エリアマネジメント研究会は、従来の住民参加・市民主体のための対話プラットフォームとは異なり、大学の協働研究のエビデンスと企業のシーズ、市民のヒューマンリソースによって、未来社会開拓、生活変容型の産官学民協働によるエリアマネジメントの社会実装をめざす協働研究です。
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去る 2018年2月23日(金)、大阪大学中之島センターにおいて、協働研究ユニット研究者のご紹介とポスターセッション、意見交換会が行われました。
会場の様子を4回にわたってレポートします。
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企業、NPO、大学など、さまざまな分野からたくさんの方にご参加いただき、会場は満席(78名)でした。
最初に、松繁 寿和 COデザインセンター長よりご挨拶させていただきました。
次に、森栗 茂一 COデザインセンター教授より、「これまでの経緯と大阪大学エリアマネジメントコンソーシアムのねらい」について、お話させていただきました。
まず、大阪大学産学共創本部主催の共創コンソーシアム組成支援プログラムに応募した経緯について説明がありました。このプログラムにおいて、これまで社会包摂による研究教育にご理解を得ていた9名の研究者と一緒に活動をスタートすること、今後共同研究する仲間を広げたいということについてもお話しました。
森栗 教授より
「大阪という地域の中で、9名の先生と協働研究ユニットをつくり、一緒になって課題を考えていきます。対象領域や研究テーマは、最初から想定されているわけではなく相互の意見交換のなかから事後に発見されることもありますが、まずはこのような研究会をすすめていくことで、将来的にさらに大きな課題解決に取り組むことも視野に入れていきたいと考えています。
COデザインセンターは、多くの複合的な課題、個別研究で解決することが難しい教育研究課題に取り組む大阪大学の部局です。今後は、より多様なセクターが対話し、コ・クリエーション、コラボレーションを促進することが必要になります。多様な分野の学生が一緒に机を並べ、フールドに出てものを考え、企業、行政、NPO、地域住民を巻き込むような教育研究を行いたいと考えています。対話のプラットフォームを構築し、いろいろな研究室、複数の研究者が連携してそこに関わることが必要なのです。そして、地元の大学として、ひとつでも多くの課題に取り組んでいきたいと考えています。
今後は、上意下達の従来型の都市計画だけでは足りず、どんなまちをつくりたいのか、まちにはどのような課題があり、それをどのように解決したいしたいのか、つまり、自分たちの住む地域の価値は何なのかを皆が一緒に考え、お互いに共有し、その価値をあげていくことが必要です。そして、目標を定め、できることを皆で一緒に考え、すこしでもトライする。そこに大学や学生が関わることで、学生が育ち、地域の人々が育ち、地域課題に根ざした研究も育ちます。
そこに正解はありません。たくさんの課題があるということは、私たちの生き方、あり方を再発見できる可能性がたくさんあるということなのではないでしょうか。一緒に考え、実験する。それ無しに、まちも学問もはじまらないのではないかと思います。」
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会場では、ポスターセッションも行われました。
活発な意見交換の輪が、あちらこちらで見られました。
次回以降では、ポスターセッションのご発表内容についてレポートしていきます。
(書き手:森川優子 COデザインセンター 特任研究員)