第一回 豊中地区 研究交流会
「文×理『知』の融合」(3)
去る2016年12月20日に
大阪大学豊中キャンパス 大阪大学会館にて行われました
第一回豊中地区 研究交流会
「文×理『知』の融合」
会場の様子を
3回シリーズでレポートする
最終回です。
会場には
たくさんのポスターが並んでいました。
たとえ聞き手が専門でなかったとしても
「これはどのような研究なのだろう?」
「ぜひお話をお聞きしたい!」
と思わせる
工夫を凝らしたポスターが多かったのが
とても印象的でした。
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今回取材させていただいたのは
大谷 智仁 先生
(基礎工学研究科 機能創成専攻 生体工学領域
生体機械科学講座 生体機械システムグループ、助教)
です。
目に止まったのは
理科の教科書で見たことがあるような絵・・・
先生、こちらに描かれているのは
心臓ですか?
「はい。そのとおりです。
人の心臓は、理科の教科書などで
ご覧になったことがありますよね。」
はい、中学校の授業で学んだ記憶があります。
「私の研究では、心臓の中でも
『左心耳』に注目しています。
左心耳は理科の教科書には
ほとんど載っていないと思いますが・・・
ご存知でしたか?」
『さしんじ』・・・いえ、初めて知りました。
心臓に、こんな部分があるのですね。
「そうなのです。
なぜ、心臓に左心耳という部分があるのか
実はよくわかっていないのです。
一方で、左心耳は
ちょっと厄介な部分でもあるのです。
心房細動が起こると
この左心耳で血流が淀み
血の塊ができることがあるのです。
それが血管を巡り、脳の血管を詰める
ということが知られています。
現在、脳梗塞の原因は大きく二つあると言われていますが
そのうちの一つはこれだと言われています。
一方、
潜在的に血が滞っていても
自分で気づくことは難しいのです。
気づかないまま、脳梗塞が起きてしまうこともある。
40代、50代の働き盛りの人の突然死の中に
実は、このような脳梗塞が
含まれているのではないか、と考えられているのです。
そこで、
この左心耳内部の血流を
数値計算を使って解明しよう、ということが
私の研究のテーマです。
血流を調べることによって
血液の滞りが見つけることができれば
投薬などで対処することができるからです。
ジョンズ・ホプキンズ大学医学部と一緒に
取り組んでいる研究です。」
この会場に来られている方が
もちろん、私自身も含めて
先生の研究された検査を
近い将来受けるかもしれないのですね。
「そうですね。
近い将来、人間ドックの一つの検査として
実施されているかもしれないですね。」
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大谷先生は
今回のこの会のために
ポスターを特別に作られたとのこと。
「とにかく文系の人に見ていただきたくて
できるだけ数式は外して
カラフルに、目を引くようにしました。
意図通り、たくさんの方に話を聞いていただけたので
よかったなと思っています。」
ブースを訪れる方お一人お一人に
丁寧に説明される大谷先生。
皆さん熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
(大谷先生の研究室のHPはこちら。)
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大谷先生、貴重なお話をお聞かせくださり、
ありがとうございました!
※ 所属、担当はインタビュー(2016年12月)時点のもの。
(書き手:森川 優子/大阪大学COデザインセンター特任研究員)